「風が強く吹いている」原作の感想

色々あってやる気がなかったんですが、生きてます。
何があったかというとま~~来月末くらいに今の職場を離れることになったので、なんか気が抜けて私生活にもやる気がなくなっているというか…(よくない傾向すぎる)
最近は本を読んでインプットしたりしています。創作はもうちょっと気持ちが落ち着いてから…。

そんな中で、以前からおすすめされていた「風が強く吹いている」をようやく読みました。

なかなか読み進めるタイミングがなく、ずっと積んでいたのですが先日帰省した折にようやく読みきりました。
実家が遠いと移動時間ずっとスマホいじるっていうわけにもいかないので、お供にちょうどよかったです。

元々作者のエッセイは昔から結構好きで何冊か読んでました。
ただ著作の中でもかなり有名な今作は何故か読んだことがなく…。題材的にも以前の私だと「スポーツものかあ」とあまり食指が伸びなかったジャンルなんで…今は違いますが。何故なら野球にハマったことでスポーツの面白さに気づけたからです。ほんと人って何があるか分からないなとしみじみ。

以下は感想です。

▼「風が強く吹いている」感想

序盤でいきなり主人公がナチュラルに万引きしてて笑ってしまった。
まずそこ!?って感じですけどあまりにもインパクトがデカい。
走ることにしか興味がない(というかそもそも走らないと生きていけない)走とハイジさんの出会うシーン、ハイジさんのモノローグが滅茶苦茶印象的だった

“その瞬間、清瀬は悟った。もしもこの世に、幸福や美や善なるものがあるとしたら。俺にとってそれは、この男の形をしているのだ。”
新潮文庫「風が強く吹いている」 p.16より引用

初っぱなから情熱的すぎん!?
後からハイジさんは走のことは選手として知ってたという描写があるので、あーなるほどね、とは思いましたが。それでもここまでストレートな表現されるとちょっと読んでて照れちゃう。オタクは青春の光に慄いています。
ただ、圧倒的な才能を持っているものを目にしたときに、「美しい」と感じる感覚はすごい分かる。
その選手のことを考える度に私もだいぶポエミーもなっている自覚があるので、ハイジさんに言えることはない。ほんとに「お前が世界で一番美しいよ…」という気持ちで見てますからね。恥ずかしがっても仕方ないのです。
ハイジさんに肩ポンをしてわかるよ…!と言いたいです。不審者乙。
ただ、万引きに関してはハイジさんもほぼスルーしてたので、いやいいのかよ!?という気持ちにはなりましたが…。ただ別に不良少年を構成させる物語ではないので…。
いやまあ麻雀でお金溶かしたりしてるけど。田舎から都会に出てきてカモられたということで一つ(コミカライズ版だとそんな描写だった)。
こういう描写って時代によっても受け止められ方違うしなー。
2000年代前半に書かれたこと考えると、まあそういうもんかなって…。あの頃の創作物ってナチュラルに治安が悪かった気がします。

竹青荘の皆さん、みんな個性的でよかった。
いい年なので●●くん萌え!好き!みたいな感情にはならなかったんですが、とにかく全うに青春してていいわねえ~…という目線で読んでいた。
バラバラの個性を持ちながらも、一つの目標に向けて徐々に絆を深めていく住人たち。王道で最高。一緒に暮らしているからこそ、相手の長所も短所も分かってくれる関係性って貴重だよなあ。家族や学友とはまた違った距離感なのが良い。
双子と走くんの空気が微妙な感じになってる時の描写とか雰囲気で、やっぱ女性作家さんてこういう描写(キャラクターの感情の機微?)するのうまいよなあと思った。
仲直りしたときもなんか青春過ぎて「クゥ~!」となっていました。
あとニラかわいいよニラ。
大家さんがいきなり血を吐いたときはビックリした。「えっこれ余命あとわずかとかそうおいう展開…?」と恐る恐る読んだんですが、別にそんなことはなかったぜ。むしろめちゃくちゃ元気だった。何だったのあれ?

箱根駅伝が放送されない地域に生まれ育った人間なんで、作中で出される情報に毎回「へえ~そうなんだ…」と新鮮な気持ちで読んでいました。
最近までニューイヤー駅伝と箱根駅伝は違うんですか?というレベルの知識しかなかったですからね。終わっておる。
知識がなさすぎて、往路と復路で2日間かけて走るとかも2年前に初めて中継を観るまでいまいち分かっていませんでした。めちゃくちゃ過酷だな!?(そうだよ)
一応選手と併走している犬の写真ならTwitterでみたことあるんですけど…偏りすぎている知識…。
そんな大会に出るために、きつい練習をして頑張っている姿でもう泣いてしまうんだよなあ…。アオタケのみんなは成り行きとは言え、あんなきつい練習に着いてくるだけでももう凄いと思う。ここの潜在能力ももちろん凄いんだけど、ハイジさんのコーチとしての能力が凄すぎるよなあ。人間が色んな意味でできているな…。

レースが始まってから、選手それぞれの視点にフォーカスが当たるのも良かったな~。そこまではどうしても走くんやハイジさん視点だったので…。
レースが始まってから、選手それぞれの視点にフォーカスが当たるのも良かったな~。
王子とか運動苦手なのにあそこまで頑張ったという事実だけで泣けますよね。1区の「そんな言葉が聞きたかったんじゃない」→「合格」の流れですでに爆泣きしてしまいましたが…こんな熱いレースが残り9区もあるのか!?となりこの辺りは深夜になっても読む手が止まらなかった。
個人的にレースで一番感情移入したのはやっぱりニコチャン先輩かなあ。
人並み、もしくはそれ以上に走ることはできるけど、生まれ持った体格とかはどうにもならないというのは悲しいけど現実にもありえることだしな。こういう挫折ってある程度の年齢になると余計身につまされるというか…。それでも諦めないのがかっこよかったです。
双子ちゃんはなんか一生朗らかでいてくれ(双子保護団体会員より)

終盤のハイジさんのレースでは完全にアオタケのみんなと同じ感情になって泣いてしまった…。
本当のところ、身体をぶっ壊すくらいならやめてほしい。でもやめてなんて言えないんだ…だからゴールで信じて待つっていうのが最大限の敬意の表し方ですよね。め
ちゃくちゃかっこよかったよハイジさん…(枕を涙で濡らしながら)
走とハイジさんの関係性は作中でも唯一無二感があるので、思春期に読んでいたら沼一直線だった気がします。一生一緒にいてくれや(古)

昔ならこういったジャンルは食指が動かなかったというか、表面だけ読んでふーん面白いじゃん…って感じで終わっていたと思います。
ただこの数年で野球を積極的に観るようになって、選手やチームのそれぞれの事情とかに思いを馳せるようなったので、より深く楽しめたんだろうなあ~。
これから箱根駅伝の映像を観る度にアオタケの皆を思い出し、私はまたこの本を手に取るんだろうなあ。とても良い出会いに感謝…。
とりあえず来年の箱根駅伝は真面目に観てみようかな~と思いました。

今はコミカライズ版を読んでいるところなんですが、まだこっからアニメと映画があるんですか!?流石それなりに人口がいるジャンルは違うぜ…。しばらく楽しませてもらえそうです。

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