半年ぶりくらいに帰省してたんですが、幸い天候にも恵まれ良いリフレッシュになりました。
本とかiPadとか持っていくんだけど、だいたい作業はあんまりできないんだよな…時間はあるはずなのになぜ…。
チラ裏とかでもさんざん言ってるけど一番好きな選手がアメリカ行っちゃうっぽくてえ~~~~~~ん寂しいよ~~~~~~となり寂しさを紛らわすために(というか、このことで騒然としてたSNSから少し離れるために)ひたすら本を読んでました。積読を消化する良い機会だった…。
そういうわけで以下に感想をまとめています。
チラ裏と一部内容重複してますが、気にしないでもらえると嬉しい。
『モーリス』
作者の短編集を読んでから気になって買ってみて、ようやく読みました。
短編集の方では訳者が違うせいかあまり感じなかったけど、言い回しにロマンチックな部分が多くて、読みながらヒイヒイ照れていた。
当時のイギリスの男性がどう振る舞うべきなのかとか、同性愛が犯罪として扱われていた時代にどういう風に見られていたのかとかがよくわかり興味深かった。
作者が当事者だっということもあると思うけど、自分は病気なんじゃないか?と延々悩むシーンは読んでいて辛かった。思い詰めて自殺考えちゃうシーンとか。
なんというか、人間が積み上げてきた規範の上でもがき、自己を確立させていく過程はいつの時代に読んでも普遍的なテーマなのかもしれないなと思う。
クライヴ、まあ〜ひどい男なんだけど(女が好きになったと別れておいて、友人関係は続けたいとモーリスを翻弄するところとか…)モーリスはモーリスで生涯を共にしてくれるであろう“友人”の存在に囚われすぎていて愛が重すぎるんだよな…。クライヴとの関係に重きを置きすぎるさまは読んでてちょっと怖かった。それもモーリスの素直さ故なんでしょうが…。
まあ、こんなことを言っておきながら、寄宿舎学校時代の描写には普通に萌萌してしまいましたが…仕方ないだろ…!!
最終的に身分の垣根を変えて(時に物理的に向こうから壁を超えてくるのに笑った)使用人の男の子と2人で生きていくことを決めるわけですけど、その選択は茨の道だけれども、なんとなく彼と一緒であれば大丈夫だろうな…と感じた。
モーリスに必要だったのは、尊敬できる知識人でも医者でもなく凝り固まった価値観をぶち壊してくれるような人間だったのかもしれない。もし2人が別れることがあっても、自己を受け入れることのできたモーリスはきっともう大丈夫だろうなと思う。
とりあえずクライヴは一生何かのタイミングでモーリスのことを思い出して胸がキュッとなってほしいです。萌えなので。
『ゴリラ裁判の日』
書店で見かけて(なんやこのタイトルは…メフィスト賞か…)となり思わず購入したものの、買った直後に色々ありすぎて読む手が止まっていたのですがようやく読み切った。
序盤は人間の言葉が分かる主人公のローズ(ゴリラ)が裁判に負けるシーンから始まり、彼女の生い立ちがずっと書かれるわけですけど正直この部分はあまりノることができず…。
ただ後半から加速度的に面白くなっていき、最後の裁判シーンで彼女が手話で表現したセリフにはかなりグッときた。あえてここでは書きませんが、感想ノートにこのセリフを書いてたまに読み返しては良いな…としみじみ噛み締めている。作中の登場人物がそう感じたように、一種の崇高さがあった。
ローズがプロレスラーになるくだりとか一歩間違えればいやギャグだろこれ!!てなると思うんですけど、描写から茶化す気持ちはあまり感じられなくて至って真面目に書かれているので、こちらも真面目にローズの半生を追いかける気持ちで読んでいた。で、読み終わる頃にはすっかり好きになっている。私も友達になりてえ…。
あとがきからも作者の真摯さが伝わり好感を持ったんで、新作また書いて欲しいな…。アンテナ張っておかないとな…。
『心霊探偵八雲 完全版』
あまり言ってこなかったのですが、この作品には個人的にめちゃくちゃ強い思い入れがあります。
なにしろこの作品で『ファンの描いた二次創作文化』に触れたもんで…これがなかったら今ここでサイト運営してないと思います。当時は自分が二次創作するとか考えたこともなかったので(10代前半でしたし)見る専でしたが、オタクとしての転換点だったと思う。
文芸社刊行時代から読み始めて、(確か当時は2巻が出たばかりくらいの時期だったと思います)1、2巻は読み返しすぎてボロボロです。カップリングはもちろん八晴でしたよ…ええ…。空の境界の幹式と八晴はワイにとっての二大男女カップリング。熱い自分語り乙って感じなんですが、そのくらい思い入れがあるんですよね!
そんな本作も私の進学とか就職とか、しばらく新刊が出なかったりとかで離れていたわけですけど、大幅に改稿された完全版が発行されるときいて、改めて物語を追うチャンスかもしれん…と思い、話が変わってたらやだな〜という怖さはありながらも読み始めました。
まあその心配は杞憂に終わりましたが…現代の話として細かい部分がブラッシュアップされており、登場人物の心理描写もより細かくなっててよかった!!
先にも書いた通り、1巻と2巻はめちゃくちゃ読み返してたので当時のことを思い出しながら読めた。八雲の不器用さが昔より強調されており可愛いやつめ…と言う気持ちになった。2人より年上になってしまったからこそ分かるよ…そのモダモダが…。あとは当時なんとも思ってなかった(ひどい)石井さん、今見るとめっちゃcuteだなこの人…。当時コアなファンが付いてたのも分かる笑
ただまあ、完全版ということもあり、当時は刊行されてなかったスピンオフに出てくる登場人物や出来事が示唆されたりしてて「なんやそいつ私知らん…」とはなった。
あと八雲の美形設定って、シリーズが始まった当時はそんなに重要視されてなかった記憶があるんだけど、かなり描写が盛られてて読んでて笑ってしまった。そんな儚げな美形だったっけ!?
個人的には初代イラストレーターの加藤アカツキ先生の描く八雲たちのイメージが強いんでそこはまだ慣れないですな…。
これから定期的に新鮮な八晴が接種できるかと思うと感無量であります。
記憶のなかにあるお話がどう紡ぎ直されるのか楽しみにしています。できれば単行本実家から持ってきたいとこなんだけど、流石に部屋が崩壊しそうなんでやめときます…。
あと、この作品15年以上前に一度ドラマ化してるんですけど、八雲のキャストがAAAの與〇司郎さんだったのが未だになぜ??????となる。いや深夜ドラマとはいえマジでなんで???????当時はサブスクとかなくて視聴環境なかったから一度も観たことないんですけど…いやなんで????(永遠の謎)
『痴人の愛』
谷崎は大昔に短編集読んだっきりだったんですが、この作品については「また、桜の国で」がラジオドラマやってたのと同時期に朗読番組が放送していて、内容が気になったので読んだ。
大体のあらすじは知ってたんだけど主人公はもちろんナオミも大概だな!!いやでもほかの谷崎作品読んでも大体こんな女ばっかりなので性癖なんだなおそらく(作者の癖前回のキャラが出てくると途端にすきになっちゃうオタク)
でもやっぱりこういう登場人物の性癖とか他人に見せるにはだいぶ気持ち悪いところをキチンと書ききるところがやっぱりすごいよなあと思う。
素人がこういうこと書こうとするとなんかスケールが小さくなるというか、照れみたいなものが発生すると思うんですけど、最後までなんかずっと気持ち悪いまま突き抜けているのだから…。
とくに最後らへんのナオミが出て行ってしまってからの主人公の狂いっぷりが強烈だった。ナオミが着てた服を背中に背負ってお馬さんごっこはさすがに浜田君もドン引きし泣くレベル。浜田君、最初はなんやこいつと思ってたけど最終的に一番かわいそうでした。
最後のナオミに完全に屈服するシーンは圧巻だった。使っている言葉はひどくシンプルなのに、有無を言わせない強制力を感じた。
堕ちるところまで堕ちていく二人だけれども、ああやってすっかり性格(その他諸々)が終わってしまった人間たちは年老いていくとどうなるんだろうなあと思う。なんかこの二人なら心中でもするのかな~でも主人公はナオミに死ねと言われたら死にそうだしナオミはちゃっかり生き残りそう。
今の時代に読んでもナオミのような女性はなかなかスゲエよ…と思うので当時の女性には刺激的なんてもんじゃなかっただろうな。
なんだかんだ言っていますが谷崎の耽美な文章表現にはまってしまい、今は「刺青・秘密」を読んでおります。
「秘密」の女装シーンが最高にエロティックで…下品な言葉を一切使っていないのに艶めかしい。やっぱり文豪ってスゴイ、改めてそう思った。
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